将来、お子さんを希望される
がん患者さんとそのご家族へ
~ がんになっても、
子どもを持つことができるの? ~
がん患者さんへの病気に対する治療は最も優先されることですが、手術や薬物療法、放射線などの治療により、将来の妊娠・出産への機能が低下したり、中には諦めなくてはならない方がいらっしゃいます。近年そのような患者さんに対して、妊娠・出産の希望を残せるような医療を提供できるようになってきました。それが妊孕性温存です。
どんな方法があるの?
- 男性
精子凍結 - 女性
胚(受精卵)・未受精卵子凍結 - 精巣・卵巣組織凍結
どこに(誰に)相談したら
いいの?
担当医、看護師、薬剤師、がん相談支援センターにお気軽にご相談ください。
費用はどのくらいかかるの?
保存方法によって金額が大きく異なります。
→ 詳しい資料は、「大阪府がん患者等妊孕性温存治療費等助成事業」のリーフレットをご参照ください。
※各都道府県によって助成金の金額が違います。
卵子・精子を保存しないと
赤ちゃんができないの?
治療内容によって、妊娠ができるのか変わりますので、治療開始前に主治医にご相談ください。
→ がん治療終了後に必要に応じて生殖医療専門医師へ相談いただけます。
詳しい資料は、がん相談支援センターにパンフレットが置いてあります。
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お問合せ・提出先
大阪府 健康医療部 健康推進室 健康づくり課
電話:06-6941-0351(代表)(内線2528) 
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一人で悩まずだれかに相談してもいいんだよ

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参照: 大阪がん生殖医療ネットワーク国立研究開発法人国立がん研究センター
https://osaka-gan-joho.net/oo-net/
15 歳~ 30 代(AYA 世代)で
がんと診断された方へ
未来への不安を一緒に解消しましょう。小児 AYA 世代のがん患者さんへ、妊よう性温存治療の大切な情報をお届けします。
AYA 世代とは
AYA 世代とは、思春期・若年成人(Adolescent and Yong Adult:AYA) のことです。定義はさまざまですが、
介護保険の対象ではない 15 歳~ 39 歳の世代を指します。
AYA 世代のがんの特徴
がんは遺伝子の異常からくる病気です。小児のがんは、特定の遺伝子の問題から急に発症することがよくあります。
一方、成人のがんは、年齢を重ねるとともに、がんの原因となる遺伝子の異常が増えやすくなります。
AYA 世代は、子どもから成人への境目に位置しているので、小児と成人の両方のがんが存在します。
AYA世代は、将来的なことを考える時期を含むことから、教育や就職・妊娠や出産など、心理的・社会的な側面で特別な配慮が求められています。
妊よう性(=子どもを作る機能)とは
「妊よう性」とは、妊娠するために必要な能力や条件のことです。妊娠するために必要な臓器として、女性には子宮や卵巣、男性には精巣があります。機能としては、女性は排卵や月経のサイクルが整っている必要がありますし、男性は性交時に勃起や射精ができる能力も必要です。また、妊娠には遺伝情報を持った「配偶子」が必要で、女性は卵子、男性は精子が該当します。これらは、次の世代を育むために非常に重要な存在です。
女性の妊よう性は 20 ~ 24 歳がピークです。それ以降は減少していき、流産率も年齢と共に上昇していきます。ホルモン周期によって、採卵できる期間や妊娠可能時期が限られます。
成人男性の精巣では、生涯を通じて精子が造られますが、加齢と共に少しずつ機能が低下します。
がん治療と妊よう性(子どもを作る機能)・生殖機能の温存について
がんと診断された時、不安が多く出てくる中で、「子どもは作れるのか?」といった不安も出てくるのではないでしょうか。
そんなときに考えられるのが、「妊よう性・生殖機能温存治療」です。
妊よう性・生殖機能温存治療を始める時期
「妊よう性・生殖機能温存治療」はがんの治療開始前に行います。治療が優先された場合でも、治療担当医やスタッフに相談してください。納得した上で、適切ながん治療を受けることがとて も大切です。
治療の内容と生殖機能への影響
がんと診断されると、生殖機能への影響が気になるかもしれませんが、必ず影響があるとは限りません。治療前の早い段階で、治療担当医に確認・相談してください。
「妊よう性・生殖機能温存治療」を希望される場合
がんと診断されて、どのような治療を行うのかなど、これからの生活については、さまざまな不安があるのではないでしょうか。医療者は一人ひとりのライフスタイルに合わせて、共に考え、 サポートしていきます。安心してご相談ください。
がん治療による生殖機能への影響
薬物療法(抗がん剤)の場合
卵巣に直接作用し、卵子が減少することにより、卵巣機能の低下が起こる可能性があります。
直接精巣を障害することにより、精子の形成過程を障害し、乏精子症や無精子症が生じることがあります。
(その他分子標的薬治療や内分泌療法でも生殖機能への影響が起こると言われています。)
放射線療法の場合
放射線の照射量や部位によって卵巣への影響が異なります。腹部・骨盤全放射線照射では、妊孕性に影響があると言われています。全脳照射では、ホルモン分泌の低下が 生じる可能性があります。
放射線照射量と部位により、造精機能に影響を及ぼします。
手術療法の場合
両側卵巣摘出術、単純子宮全摘出術や広汎子宮全摘出術では、妊娠ができない身体になります。
精巣腫瘍では、精巣摘出術を施行しても、片側のみであれば造精機能は保たれます。前立腺、膀胱、大腸、直腸、脊椎の腫瘍を切除する際には、性機能を司る神経が損傷 されるため、性機能障害(勃起障害、射精障害)が起きることがあります。
妊よう性・生殖機能温存方法
治療担当医は、さまざまな治療方法の中から、あなたにとってベストな治療方法を検討します。
その治療方法の中には、妊よう性を減少させてしまう治療や、妊よう性機能がなくなってしまう治療もあります。妊よう性温存治療は、そのようながん治療を行う前に、受精卵や卵巣を凍結し
て保存しておき、将来妊娠する可能性を残すことを目指した治療法です。
女性の妊よう性・生殖機能温存方法
卵巣組織凍結保存
初経前の方、がん治療開始を遅らせることができない方、卵巣機能が低下している場合などには、手術によって卵巣(通常は片方卵巣)を摘出し、液体窒素内に保存しておきます。この治療のためには、入院・全身麻酔が必要です。
卵子(未授精)凍結保存
特定のパートナーがいない方は、1 ~ 3 週間程度の排卵誘発注射を受けた後、卵巣から採取した卵子を受精させずに液体窒素内に保存しておきます。
胚(受精卵)凍結保存
特定のパートナーがいる方は、1 ~ 3 週間程度の排卵誘発注射を受けた後、卵巣から採取した卵子と精子を体外受精させ、胚(受精卵)の状態にして液体窒素内に保存しておきます。
男性の妊よう性・生殖機能温存方法
精子凍結法
マスターベーションにより射出精子を採取し、これを速やかに精製し、液体窒素内に保存しておきます。
精巣内精子採取法(TESE)
陰嚢内の精巣に切開を加え、精巣内の精子を手術的に摘出する方法です。通常は局所麻酔で実施しますが、入院や全身麻酔が必要となる場合もあります。
精巣組織凍結法
精巣機能が発達する前の精巣を手術で摘出し、精巣組織を液体窒素内に保存する方法です。現在はまだ研究段階の治療とみなされています。
小児の妊よう性・生殖機能温存方法
女児の場合
月経発来前や卵巣機能な未熟な方では、卵巣組織凍結保存が唯一の方法です。
男児の場合
造精機能が未発達な方やマスターベーションができない方は、精巣内精子採取法(TESE) や精巣組織凍結法を考慮します。ただし、精巣組織凍結法はまだ確立された治療法ではありません。
妊よう性・生殖機能温存治療のまとめと治療日数の目安
妊よう性・生殖機能温存治療にかかる費用
妊よう性・生殖機能温存治療にかかる費用(目安)
これらは全て自費診療になります。費用は医療機関によって異なりますので、受診された医療機関へお問い合わせください。
| カウンセリング料 | 初診 5,000 円 再診 2,000 円 |
| 卵巣組織凍結 | 約 600,000 円 |
| 卵子凍結 | 約 350,000 円 |
| 受精卵凍結 | 約 350,000 円 |
| 精子凍結 | 約 50,000 円 |
| 凍結保存した場合の更新料 | 約 20,000 円~約 60,000 円 |
| 凍結精子を用いた顕微授精 | 約 400,000 円 |
小児・AYA 世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業
国の制度の 1 つに「小児・AYA 世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」があります。この事業により、妊よう性温存療法に対する費用が助成されます。詳細はお住まいの自治体にお問い合わせください。
*厚生労働省 小児・AYA 世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_byoin_00010.html
妊よう性・生殖機能温存治療を実施している医療機関
大阪府内で、妊よう性・生殖機能温存治療を実施している医療機関は以下をご覧ください。
大阪がん生殖医療ネットワーク
https://osaka-gan-joho.net/oo-net/treatment/
相談窓口のご案内
当院の相談窓口
当院の相談窓口としては、がん相談支援センターがあります。診断や治療の状況にかかわらず、どんなタイミングでもご利用いただけます。疑問や不安を感じたとき、また、特別に相談はなくても今の気持ちを話したいときなど、一人で悩まずお気軽にご相談ください。解決の糸口を一緒に考えていきます。
病院 1 階の①番窓口にお越しいただくか、電話(06-6645-2725)にてご連絡ください。
自治体の相談窓口
「お住いの自治体名 妊よう性温存治療」で検索してみてください。一人で抱え込まず、一緒に考えていきましょう。

