メトトレキサートの毒性軽減目的で使用するホリナートカルシウム(ロイコボリン注)の代替薬としてのレボホリナート製剤の使用

メトトレキサートの毒性軽減目的で使用するホリナートカルシウム(ロイコボリン注)の代替薬としてのレボホリナート製剤の使用

実施内容 メトトレキサートの毒性軽減目的で使用するホリナートカルシウム(ロイコボリン注)の代替薬としてのレボホリナート製剤の使用
対象患者 当院で治療を受ける患者さんで、メトトレキサートの毒性軽減目的にホリナートカルシウムの投与が必要な患者さん
承認日 2023年8月22日
実施期間 承認後からロイコボリン注の安定供給が再開されるまで
目的・概要 メトトレキサート(MTX)はがん細胞の葉酸代謝を阻害して効果を示す薬ですが、正常な細胞の葉酸代謝も阻害するため、下痢や口内炎、肝障害、腎障害などの副作用が発生することがあります。MTXの副作用を緩和するために、葉酸の薬(ロイコボリン注)を使用しますが、本年3月にロイコボリン注を製造販売しているファイザー社から、製造上の問題でロイコボリン注の供給が停止することが発表されました。供給停止期間中にMTXによる治療を安全に行うために、ロイコボリン注の代替として、同じ効果を持つ薬剤であるレボホリナート製剤を代替として使用することがファイザー社と、がん治療に関連する国内の学会から示されています。レボホリナートはロイコボリン注と同じ葉酸の薬ですが、お薬の効果はロイコボリン注の2倍となります。当院ではロイコボリン注の供給停止期間中、ロイコボリン注の1/2量でレボホリナート製剤を使用し、MTXの毒性軽減を行います。
予想される不利益と対策 レボホリナート製剤の副作用として、下痢、血液の障害、肝機能障害、腎機能障害、精神神経症状の障害などが発生する場合があります。米国で過去にロイコボリン注の供給停止が発生し、その際にレボホリナート製剤を代替使用されたことがあります。その際の報告では、お薬の効果、副作用ともに違いはなかったとされています。この治療は入院で行うため、医療者が副作用を確認し、異常があれば速やかに減量または中止を検討します。1回投与あたりのコストはロイコボリン注の場合薬価として957~2871円、レボホリナート製剤の場合薬価として482~763円となります。ロイコボリン注供給停止期間中にレボホリナート製剤を使用することの保険算定について厚生労働省からも同様の見解が示されています。供給再開後は、ロイコボリン注を使用した治療を行います。
問い合わせ先 大阪公立大学医学部附属病院 新規技術・医薬品審査部
TEL:06-6645-2121(代表)