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2024年2月9日

2024年2月6日(火)にジュネーブ大学病院(スイス)のDidier Pittet先生が来院されました。

2024年2月6日(火)にジュネーブ大学病院(スイス)のDidier Pittet先生が来院されました。
Pittet先生はWHOの患者安全コラボレーションセンターのディレクターを務められている大変ご高名な先生で、感染対策で最も重要とされている手指衛生の神様と言っても過言ではない方です。Washing hands for global health(世界の健康のために手を洗う)という考えのもと「Five moments for Hand Hygiene(手指衛生のための5つのタイミング)」を全世界に提唱されています。当日は院内ラウンドを行い、その後、感染制御部のスタッフとディスカッション、最後に院内職員向けに講演をしていただきました。




Pittet先生は手指衛生の重要性を説明するだけでなく、実際に院内をラウンドし現場を確認しながら、当院で実践できていること、さらに発展させるべきことを詳細にレクチャーして下さいました。例えば、集中治療センターで5momentsの手指衛生を実践するためには、どの位置に手指消毒剤を設置すべきか実際に動きながら示していただきました。一般病棟では手指消毒剤の1回量は手の大きさにより異なることをわかりやすくするために、スタッフと手の大きさを比べ自分の手に応じた手指消毒剤の量を手に取る必要性を説明して下さいました。手指衛生はすべての職種がONE TEAMとなって取り組む必要があり、どのようにすれば一人一人がチームの一員であるという自覚につながるか様々なアイデアをご提案していただきました。また、各病室の誰でも目に付くところやいつも使用している手指消毒剤のボトルに手指衛生キャンペーンのポスターを掲示する等、今までにない斬新なアイデアをご教示いただきました。啓発のための掲示物はいかに多く目につくか、また、ときにはインパクトも重要であり、今後の当院での掲示物の作成について大変参考となりました。

感染制御部とのディスカッションでは感染制御部から当院の感染対策の取り組みについて報告を行いました。欧米とは異なり、院内で使用している手指消毒剤のうち携帯型によるものが60%を占めていることに驚かれている様子でした。また、手指衛生の実践状況を確認する直接観察については、より精度の高い評価を行うために観察者の育成について言及されていました。




最後に、院内職員向けに「Message for hand hygiene supporters in each department(各部署で活躍中の手指衛生サポーターへのメッセージ)」と題した講演を賜り、手指衛生に関しての世界的な取り組みの状況や、病院全体として手指衛生に対する取り組みをより強化するためのアドバイスをいただきました。5つのタイミングをトータルで向上させることは重要ですが、どこが課題かを明確にし、ワンポイントで強化していくことも重要であるとお話されていました。今後の当院の感染対策に大変参考となる貴重な機会をいただき、ありがとうございました。