ゲノム医療センター

ゲノム医療センター

診療内容

業務内容

センター開設について

遺伝や遺伝病に関わる疑問や不安に対し、臨床遺伝学を専門とする医師を中心としたチームで遺伝カウンセリングによる対応をいたします。適切な遺伝や医学的情報をお伝えし、心理面の支援を行うことを通して、来談された方の理解や選択をサポートします。

対応疾患について

遺伝性腫瘍や小児期発症疾患、神経筋疾患、難聴など、あらゆる遺伝性疾患を対象としています。
例えば、以下のような疑問や不安をお持ちの方の相談をお受けしています。
  • 遺伝子検査を勧められたがどうしたら良いのだろうか。ゆっくり相談してから決めたい。
  • きょうだいが遺伝病だが、自分にも遺伝しているのだろうか。
  • 子どもが遺伝病だと診断されたが、これからどうなるのだろうか。次の子どもを考えているが遺伝が心配。
  • 遺伝病だと診断された。家族に伝えた方が良いのだろうか。

受診方法

遺伝カウンセリングは完全予約制です。
当院に受診中の方は、主治医を介してご予約ください。

受診されていない場合には、以下の番号にお問い合わせください。相談内容の確認をした上で、ご予約をお取りします。
TEL 06-6645-2121(代表)
問い合わせ時間 月~金 9:00~17:00 (祝・休診日を除く)
※電話交換に遺伝カウンセリング希望の旨をお伝えください。

費用について

保険外診療扱いになります。
1回目 5,500円(税込)
2回目以降 4,400円(税込)

※内容によっては、保険が認められることがあります。
※検査や他科受診することになった場合には、別途費用が必要になります。

がんゲノム医療について

2018年4月 当院は厚生労働省より「がんゲノム医療連携病院」に指定され、がんゲノム医療を提供しております。
がんゲノム医療につきましては「がんゲノム医療」のタブをご覧ください。

がんゲノム医療とは

がんは遺伝子の病気です。がんの原因となる遺伝子は数多くあり、患者さん一人ひとりによっても異なります。がん細胞の遺伝子異常を明らかにすることで、その患者さんにより適した治療薬が選択できる可能性があります。このように、がんに関わる遺伝子について一度に多くの遺伝子異常を調べる検査を「がん遺伝子パネル検査」と言い、その遺伝子解析結果をもとに患者さんの治療に役立てる医療が「がんゲノム医療」です。2018年4月に当院は厚生労働省より「がんゲノム医療連携病院」に指定され、がんゲノム医療を開始しています。

がん遺伝子パネル検査の種類

OncoGuideTMNCCオンコパネルシステム
費用 56万円*(保険診療*)
必要な検体 腫瘍検体**と血液検体
解析対象遺伝子 114遺伝子
FoundationOne®CDxがんゲノムプロファイル
費用 56万円*(保険診療*)
必要な検体 腫瘍検体**
解析対象遺伝子 324遺伝子

*保険診療であるため、1~3割が自己負担となります。加えて高額療養費が利用できますので月毎の自己負担額は限度額によって異なります。検査費用は検査申し込み時と結果説明時の2回に分けてお支払いいただきます。また、腫瘍検体の状態の確認にかかる病理診断料(4500円の1~3割負担)、受診の度に受診料など別途費用がかかります。
**検体の腫瘍割合、保存状態によっては検査が実施できないことがあります。その場合でも病理診断料や説明の際の受診料等がかかりますことをご了承ください。

がん遺伝子パネル検査の対象者

以下の条件を両方満たす場合、保険診療の対象となります。

  • 下記のいずれかの診断を受けた方
    • 標準治療がない固形がん(原発不明がんや希少がんなど)
    • 標準治療が終了あるいは終了見込みである固形がんの方
  • 全身状態および臓器状態等から、本検査施行後(2.3ヵ月後)に抗癌剤が開始可能な全身状態であると主治医が判断した方(およそ2.3ヵ月後に抗癌剤療法を実施できる方)

がん遺伝子パネル検査の流れ

  • 予約

    現在通院中の病院の主治医に検査受検についてご相談ください。
    患者さんからの直接の予約は受け付けておりません。
    他院通院中の場合、主治医を通して当院に予約をいただきます。

  • 腫瘍検体の確認

    当院病理部で腫瘍検体を評価し、がん遺伝子パネル検査に適しているかどうかを判定します。

  • 受診(検査の説明)

    腫瘍検体の判定を受けて検査実施の可否をお伝えし、実施可能であれば検査内容や費用について説明いたします。
    説明を聞いた上で検査実施に同意をいただければ、検査を進めることとなります。
    ※もし腫瘍検体が検査に適していない場合には、現在通院中の病院で新たに生検をするかどうかご相談します。

  • 検査の実施

    検査実施に同意いただいた場合、検査会社に検体を発送します。

  • 受診(結果開示)

    検査の結果、および結果に基づく治療の情報について説明いたします。

※③~⑤まで約2ヵ月かかります。

がん遺伝子パネル検査について知っておいてもらいたいこと

  • がん遺伝子パネル検査を行ってもがん細胞の遺伝子異常が見つからない場合があります。また、遺伝子異常が見つかってもその異常に適した薬がない場合があります。
  • 検査結果に適した薬剤が国内未承認の場合、薬剤使用までに時間を要することや、治療が自費になることがあります。
  • 検査を行うことで効果の期待できる薬剤の投与ができた患者さんは約1割とされています。
  • 検査の結果、生まれつき腫瘍にかかりやすい体質と推測されることがあります。その結果の詳しい説明を希望される方は遺伝カウンセリングを受けることができます。

がん遺伝子パネル検査目的での当院紹介を検討いただいている医療関係者の皆様へ

以下の事項をご確認の上、お申し込みください。

検査の適応について

下記2点に関して必ずご確認ください。
  • 患者さんが検査対象の条件を満たしているかどうか
    標準治療がない固形がん患者または局所進行もしくは転移が認められ、標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者も含む)かつ、全身状態および臓器機能等から、本検査施行後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した方。
  • 検査が可能な検体があるか
    下記の「提出検体(FFPEブロック)の条件」をご確認ください。

提出検体(FFPEブロック)の条件

遺伝子パネル検査に適したFFPE(Formalin fixed paraffin embedded)ブロックをご提出ください。適正な条件は以下のとおりです。

  • 材料は手術、生検材料いずれも過去3年以内のブロックが望ましい。
  • 10%中性緩衝ホルマリン固定液を使用し、検体採取後、すみやかに固定液に入れる。
    6時間以上48時間以内の固定が望ましい。
    *固定条件が検査結果に大きな影響を与えます。
    *ホルマリン固定以外の固定液では検査実施しておりません。
  • ブロックの保管は高温多湿が避けられている状態が望ましい。
  • 有核腫瘍細胞割合が最低20%~30%以上あるブロックを選択して提出して下さい。
    切片5mm×5mm(25mm2)以上の表面積を有する条件下での%です)
    検体の状況によってはブロックの変更をお願いする場合もあります。
    *選択に迷われる場合は正常部位を含んだ腫瘍部のブロックを複数個提出いただければ、こちらで1ブロックを選択します。
    ㊟ブロックの提出が原則ですが、貴施設に腫瘍含有率の判断ができる病理医がいる場合に限り、未染色標本での提出も可能とします。ただし、以下の注意点を厳守して下さい。
    (1)コンタミネーションを防止するために、以下の操作を行って下さい。
    ・ミクロートーム及び周辺を清掃した上で手袋を着用して標本作製を行って下さい。
    ・検体ごとに毎回新たなミクロートームブレードを使用して下さい。
    ・ウォーバスは検体ごとに毎回洗浄して下さい。
    ・手袋は頻繁に交換して下さい。
    (2)薄切時には以下のスライドガラスをあらかじめ準備した上で標本作製を行い、乾燥して提出して下さい。
    ・正電荷スライドガラス(剥離防止コートスライドガラス)を用いて下さい。
    ・未染色標本の提出は連続切片で30枚必要です。
    ・フロスト部分に消せるように鉛筆で連続切片の順番を1~30まで記載して下さい。
    (順番以外の、患者氏名などは一切記載しないで下さい。検体識別番号を改めて記載します。)
    ・未染色標本は提出日もしくは提出日の前日に作製し、水切りを充分に行い、伸展・乾燥のための過熱はせず、スライドケースに番号順に入れて提出して下さい。(検査者及び搬送者の指紋など付けないようにケース収納後は取り出さないで下さい)
    (3)標本作製上の留意事項
    ・1枚のスライドガラスには、1切片のみ載せて下さい。(複数枚載せると検査は受付されません)
  • 搬送は高温多湿による保管は避け、25℃以上となる場合は冷蔵で運搬をお願いします。

*ご不明な点がありましたら、大阪公立大学医学部附属病院病理部・病理がんゲノム担当(電話06-6645-2227【直通】)までご連絡ください。

紹介の手続きについて

  • 貴院のご担当者(地域医療連携室等)から、当院の地域医療連携室宛に下記をFAXしてください。
    診療情報提供書(診察予約申込書)(Excel)
     ※がん遺伝子パネル検査目的である旨を明記ください。
     LIQUIDご希望の場合は組織検体の提出が困難である理由をご記載ください。
    ・最新の採血結果
     患者さんの受診日が決定しましたら貴院のご担当者(地域医療連絡室等)へお伝えします。
  • <受診当日に持参いただくもの>
    ・紹介状
     ※抗癌剤投与レジメと期間、効果評価結果の情報、既に解析されているコンパニオン診断結果情報
      (KRAS,BRAF,HER2,EGFR,ER,PgR等)をご記載ください。
    ・上記「提出検体の条件」を満たす腫瘍検体
    ・CT画像(あれば望ましい)

    ※検体が検査に適していない場合、患者さんが新たな組織採取を希望された場合には、紹介元主治医へご相談することがあります。

検査後の治療について

がん遺伝子パネル検査結果はご紹介いただいた主治医に報告されます。検査結果は、遺伝子異常や推奨される治療薬の有無が記載されています。その結果に基づいて、主治医が治療法を判断します。

がん遺伝子パネル検査に関するお問い合わせ先・送付先 

がん遺伝子パネル検査全般に関するお問い合わせ

大阪公立大学医学部附属病院 ゲノム医療センター
電話番号:06-6645-2806(直通)

組織検体に関するお問い合わせ

大阪公立大学医学部附属病院 病理部・病理がんゲノム担当
電話番号:06-6645-2227(直通)

申し込みFAXの送付先

大阪公立大学医学部附属病院 地域医療連絡室
FAX:06-6646-6215(直通)

当院での非侵襲性出生前遺伝学的検査(NIPT)について

  当院は、厚生労働省「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会」が参画する「出生前検査認証制度等運営委員会」より、基幹施設に認証されています。
  生まれる前にお腹の赤ちゃんが、染色体疾患をもっているかどうかを検査する方法の一つとして、NIPTがあります。
NIPTは、確定診断ではなく、赤ちゃんが染色体異常をもつ可能性が、高いか低いかの判定を行います。
当院でのNIPTは、下記の3疾患のみを対象としています。
  • 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 18トリソミー
  • 13トリソミー
※性別判定や染色体の微細な構造異常等の検出はできません。

受検対象者・検査方法・費用について

対象となる方

基本的には、妊娠10週~15週の妊婦さんで、下記のいずれかにあてはまり、受検を希望する方です。
ただし、以下に当てはまらない方であっても、十分な遺伝カウンセリングを行っても不安が解消されない場合、妊婦さんご本人の意思の尊重のもと受検が可能です。
  • 高年齢の妊婦である
  • NIPT以外の非確定的検査(母体血清マーカー検査や妊娠初期コンバインド検査)で染色体疾患の可能性が示唆されている
  • 染色体の数的異常の赤ちゃんを妊娠したこと、出産したことがある
  • 両親のどちらかが染色体の変化*をもっている
    *胎児が13トリソミーや21トリソミーとなる可能性があるような均衡型転座
  • 胎児超音波検査で染色体の数的異常を疑う所見がある

検査方法

  • 採血(約10ml)で行います。
  • 妊婦さんの血液中には、胎盤から漏れ出てくる胎児のDNAが少し混ざっており、このDNAから胎児の染色体異常の有無を調べます。

検査費用

NIPT検査料金 およそ10万円 (自費診療)
※当院でのNIPTを受検された方で、判定保留となった場合の再検査費用や、陽性の場合に行う羊水検査費用は上記に含まれています。
※ただし、検査説明のための遺伝カウンセリングや超音波検査に伴い、別途費用がかかります。

結果について

結果は、採血より約2週間後に「陽性」、「陰性」、「判定保留」のいずれかで返却されます。
必ず遺伝カウンセリングでお伝えします。

・「陰性」の場合

赤ちゃんが対象疾患である可能性は極めて低いです。
偽陰性率(実際は対象の染色体異常なのに陰性と判定される確率)は0.1%以下ですが、赤ちゃんが絶対に3つの染色体異常を有していないとは言えません。

・「陽性」の場合

赤ちゃんが対象疾患である可能性が高いです。
本当に染色体異常を有しているかどうかを確認するためには、羊水検査などの追加検査が必要になります。

・「判定保留」の場合

母体血中を流れる赤ちゃん由来のDNA量が不十分、子宮筋腫、双胎妊娠などの理由から、判定保留になることがあります。
状況に応じて再採血や羊水検査を行います。

当院でのNIPT受検の際のお願い

受検前にご夫婦で遺伝カウンセリングを受けていただく必要があります。
NIPTや遺伝カウンセリングをご希望の方は、下記問い合わせ先までご連絡ください。
※検査には適応週数があるため、初回の遺伝カウンセリングを妊娠13週までに受けていただくことが推奨されます。
※検査を迷われている場合、遺伝カウンセリングのみを受けていただくことも可能です。
※他院で妊娠管理されている妊婦さんの場合、紹介状が必要となります。

≪遺伝カウンセリング(NIPT外来)≫
毎週火曜日10時~17時(完全予約制)
*初回遺伝カウンセリングは原則ご夫婦でお越しいただきます。
ご夫婦でゆっくりとご検討いただきたいため、基本的に初回受診時に検査はできません。

NIPTに関するお問い合わせ先

大阪公立大学医学部附属病院 ゲノム医療センター 認定遺伝カウンセラー
  電話番号:06-6645-2806(直通)

※NIPT検査目的での申込書(診療情報提供書)FAXの送付先
  大阪公立大学医学部附属病院 地域医療連絡室
  FAX:06-6646-6215(直通)
  診療情報提供書内の診療科宛先は、ゲノム診療科でお願いいたします。