C型肝炎

診断

Hepatitis type C Virus
C型肝炎ウイルス(HCV)の感染により引き起こされる肝疾患です。HCVは血液を介して感染し、約70%が慢性化します。慢性化しても自覚症状はなく、無治療で放置すると肝硬変へと進行し、肝細胞がん、食道静脈瘤、肝不全などの合併症をきたす可能性が高くなります。

  • HCV抗体検査
    C型肝炎診断の最初に行う検査です。HCVに感染した時に産生するHCV抗体を検出します。 この検査で陽性となった場合、現在HCVに感染しているキャリアであるか又は、過去に感染しているがウイルスが排除されてしまった状態のいずれかであることがわかります。
  • HCV抗原検査
    HCV抗体検査が陽性の場合は、HCVキャリアなのか元感染者なのかを区別するためにHCV由来の遺伝子「HCV-RNA」を検出する検査を行います。 この検査で陽性となった場合、HCVキャリアであるということになります。
  • HCV定性検査(PCR法)
    インターフェロン治療の方針を決定するにあたっては、HCV遺伝子のサブタイプを調べる検査を実施します。 この検査により、HCVのセログループあるいはジェノタイプを測定し、ウイルス量と組み合わせることで治療方法を判断します。 さらに薬剤耐性ウイルスの有無を調べることも治療法選択に重要です。
  • その他
    慢性肝炎から肝硬変への進行を予測することは非常に重要であるため、生化学的検査(AST、ALT、ALP、γ-GTPなど)や血液学的検査(血小板、プロトロンビン活性)、腹部超音波検査(肝硬度測定を含む)、CT、MRI検査などの画像検査、肝生検による病理組織検査などが定期的に行われます。
C型肝炎

治療

  • 直接作動型抗ウイルス治療(DAA)
    近年、開発された内服薬のみによるHCV治療です。 感染しているウイルスの特性を調べた上で適切な薬剤の組み合わせを判断します。 慢性肝炎のみでなく代償性肝硬変の患者さんにも適応があり、副作用が軽減されかつHCVを排除する効果が極めて優れています。一方、自覚症状の出ない副作用が出現することもあり、肝臓専門医の管理下で治療することが必要です。 高額な薬剤費であり、肝炎治療費助成を申請することをお勧めします。
  • インターフェロン治療
    インターフェロン(IFN)を用いてHCVを排除する方法です。 現在では1週間に1回施注できるペグIFNが治療で用いられる。 またリバビリンや先述の直接作動型抗ウイルス剤を併用する治療法が工夫されHCVを除去する効果は著しく改善しています。しかし、副作用が多く、また治療適応になる患者さんが限定されるなどの問題があります。わが国では、IFNの肝がん抑止効果が証明されており、HCVが排除されなくても一定の効果が期待されている。
  • 肝庇護療法
    上述のHCVを排除する治療の適応がない場合や治療してもHCVが排除できない場合は、肝がんの発生を予防するため、ウルソデオキシコール酸(内服薬)やグルチルリチン配合剤(注射薬)により、肝機能を正常に保ち肝炎の進展を防止します。