センター長挨拶

センター長挨拶

卒後臨床研修センター長|首藤太一(しゅとうたいち)
大阪公立大学医学部附属病院
卒後臨床研修センター長 
首藤太一(しゅとうたいち)

はじめに

初期臨床研修制度は、プライマリ・ケアを十分に学び、基本的診療能力を身につけるとともに、医師としての人格を涵養することが求められています。

「医師である前に社会人たれ」

わたくし達大阪公立大学医学部附属病院(当院)の研修プログラムは、全人的医療と高度先進医療の融合をよりいっそう推進させるプログラムを作成しました。
現行の新臨床研修制度は2004年に開始されましたが、2020年度には3度目の見直しが行われました。これにともない、わたくし達のプログラムも改変いたしておりますので以下にその概要をお知らせいたします。

研修プログラム

当院(大学病院)は基幹型研修病院の形態をとり、多くの協力型臨床研修病院(協力病院)や臨床研修協力施設と連携した次のⅠからⅤコースのプログラムを組み立てました。
  • Ⅰコース:1年目(48週)協力病院、2年目(48週)を大学病院で研修するコース。
  • Ⅱコース:大学病院のみで2年間(96週)研修するコース。
  • Ⅲコース:Ⅱコースに準じて小児科医を目指すコース。
  • Ⅳコース:Ⅱコースに準じて産婦人科医を目指すコース。
  • Ⅴコース:Ⅱコースに準じて80週研修後、4か月間基礎医学系教室に配属し、臨床研修と基礎医学を両立するコース。
大学病院は高度先進医療を実践していますが、プライマリ・ケア部門を担う救命救急センターや総合診療科が独立し、充実しています。協力病院はいずれも地域密着型で、規模も大小さまざまな病院から構成されていますので、研修医各人に見合った病院を自由に選択できるシステムになっています。いずれの協力病院でもコモン・ディジーズに遭遇する機会が多く、プライマリ・ケアの実践が可能です。

本プログラムには4つの特徴があります。

まず2年目には全員が大学病院で研修し、最大10ヶ月間の選択期間があることです。原則として、各診療科で最低2ヶ月以上の研修期間が確保され、じっくりと研修できるようになりました。すなわち決められたパターンに無理やりはめ込まれるのではなく、バイキングスタイルで好きなプログラムを自分で組み立てていくことが可能になっています。

2つ目は2年目の地域医療研修(1ヶ月間)で、青森県や北海道などでの地域医療研修が選択可能であることです。 例年約30名の研修医が1か月の研修を行い、「とても勉強になった」、「血圧を測っただけなのに、ありがとう、と言われてうれしかった」、「青森の風土に触れて新鮮であった」と大好評です。 地域医療研修では、青森以外の研修場所も拡充しており、本プログラムの大きな魅力です。

3つ目は、定期CPC以外に、「研修医のためのセミナー」、研修医が司会・発表を自らおこなう「プライマリ・ケア合同カンファレンス」など多くの実践的なセミナーや講習会が組み入れられていることです。他施設の研修医の発表や討論を目の当たりにすることで、多くの刺激を受けさらなる自己研鑽につながります。

最後は、2007年3月に開設されたスキルスシミュレーションセンター(SSC)です。毎年12,000名超の利用者があり、本邦でもトップクラスの稼働率です。特に研修医に対して8項目の侵襲的な手技を義務化講習として勤務時間中に開催しています。

さらに「Teaching is learning」、すなわち後輩研修医や学生指導でより効率的な医療研修を確立しています。当院での2年間の臨床研修修了者は、「さまざまな後輩指導の機会を得て、自身が大変勉強になった」とコメントするようになります。このように本プログラムは大学病院としての特徴を生かしながら、幅広い初期臨床研修を行えるように配慮しています。

地域の病院群との連携、初期臨床研修後の進路

大阪府には、当院以外に多くの自治体病院や地域の中核病院があります。当院はこれら地域の病院群と有機的な連携を図っています。医師派遣等におけるこれらの病院との交流は、今後ますます発展することが期待されます。

ところで、2年間の臨床研修を修了した後はどうなるのでしょう。大阪公立大学大学院医学研究科・大阪公立大学医学部附属病院には、大学院に進まれる方、臨床の専門領域をきわめたい方、関連・協力病院で第一線の医療を実践したい方、また、それらを組み合わせて実践したい方など、万全の受け入れ体制が築かれており、十分な受け入れポストを用意しています。もちろん全19領域の専門医制度についても、網羅しています。特に、内科専門医、外科専門医の取得のために、大学病院内の仕組みを大きく変化させて、専門医取得が可能な体制を構築しています。詳細は卒後臨床研修センター、大阪公立大学大学院医学研究科の各教室、または大阪公立大学医学部附属病院の各診療科のホームページにアクセスしてください。

当院のプログラムは皆さんに満足していただけると自負しております。卒後臨床研修センター一同皆さんの参加を心よりお待ちしております。