不適合情報
2023年3月1日
- 同意取得
- 重大
- 医学系指針準拠の研究
#231302 同意取得に関して発生した不適合事例(同意未取得・文書同意未取得(再同意含む))
概要
2.重大な不適合の内容
健常児(小学1年生~4年生)29 名に対し、代諾者(※)である保護者の同意を得ずに研究に係る行為(アンケート調査、身体への侵襲を伴わない検査等)が実施された。これは必要なインフォームド・コンセントの手続を行わずに研究を実施した場合に該当する。
※代諾者:未成年者など、研究対象者が研究への参加等について同意をする能力を客観的に欠くと判断される場合に、研究対象者の代わりに同意をする者
対応状況
3.調査結果等概要
1)不適合の発生状況
病院以外の一般施設において、未成年者に対し研究の説明を行い、同意を受けたのち、保護者の同意を得ることなく、研究に係る行為(アンケート調査、身体への侵襲を伴わない検査等)が実施された。未成年者本人が自宅に持ち帰った説明文書を確認した保護者より、研究機関及び学童保育施設に問い合わせがあり、本事案が発覚した。
2)不適合発生の原因
岡山大学病院に調査委員会を設置し、本不適合事案について調査した。結果、①研究者や研究チームにおける、未成年者を対象者とする際のインフォームド・コンセントに関する手続きについての認識不足や情報共有の不足が原因であったと考えられた。また当院の組織的な問題として、②研究計画書作成や倫理審査承認後の対応における、未成年者を対象とする研究への支援の不足、③倫理教育の実効性の不足があることが原因として考えられた。
3)同診療科内の他臨床研究の実施状況
研究責任者が所属する診療科内で実施されている他臨床研究に対し、代諾者を設定する類似事案を調査し、同意取得等が適切に行われているかを調査委員会が確認した。結果、当該他臨床研究について、適切に実施されていることを確認した。
4)他診療科の他臨床研究の実施状況
他の診療科で実施されている臨床研究のうち、代諾者を設定する類似事案について、すべての研究を対象に自己点検を依頼するとともに、その中から調査委員会がサンプリング調査を行い、同意取得等が適切に行われていることを確認した。
5)当該研究への対策と現状
重大な不適合発生時より、自主的に臨床研究を停止の上、当該研究における同意取得から研究開始までの一連の研究関連手続きを再確認し、研究実施体制の整備等を図った。また、当該診療科内でのチェック体制の強化を図った。
なお、本臨床研究については、原因を踏まえた研究計画書等の変更手続きを行っている。
是正措置
6)再発防止策
岡山大学として取り組むべき再発防止策について、次のとおり審議・決定した。岡山大学倫理審査委員会に
おいて、倫理指針下で実施する研究に係る審査を受ける研究者のすべてを対象とし、①同意手続きに関する研究倫理教育の強化、②代諾者同意に関する研究計画書、同意説明文書作成におけるひな型や解説の充実をはじめとする研究者支援の強化、③研究開始時支援体制の充実に取り組む。また、倫理指針下研究を主に実施している岡山大学病院においては、追加の対策として、④診療科単位の研究の適正実施に係る管理体制の強化、⑤発生した不適合事案に対するフォローアップ体制の強化に取り組む。これらについては既に検討や取り組みを開始しており、今後も鋭意進めていく。
引用元
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/20230301_houkokusho.pdf