不適合情報
2023年6月2日
- 症例登録・割付
- 重大
- 臨床研究法下の研究
#231604 症例登録・割付に関して発生した不適合事例(登録期間外の症例登録)
概要
精密な術野の測量やマーキングを行うための人体に安全な顔料を用いた医療機器認証マ-カ-の開発[jRCTs032230078]で生じた不適合事案
【経緯】
当該研究は、適格基準を満たし文書同意を得た歯科口腔外科手術実施予定の被験者を対象に、開発中の未承認ペンを用いた性能評価(顎骨又は口腔粘膜におけるマーキングの可否や描記のしやすさ、視認性及び滲出性等)及び安全性評価(マーキング箇所のアレルギー反応の有無や重篤な有害事象及び機器の不具合の発生状況及び頻度の調査)を目的とした、当院単機関で実施する前向き非盲検単群試験として計画され、令和4年10月24日にNCGM-CRBで承認後、同年11月28日に当院管理者の実施許可を取得した。
その後、研究開始に際しては、厚生労働大臣へ実施計画を提出及びjRCTへ登録を行い、jRCT で公開されたのちに研究を開始する必要がある。当該事案において、CRB 申請前にjRCT への入力及び一時保存を行った研究分担医師は、一次保存の状況で手続きが終了していると誤認識しており、研究責任医師も jRCT で公開されたか否かを確認しておらず、結果、jRCT上での実施計画の提出及び公開が行われていない状況下で、令和5年1月4日~2 月21日までの間に、予定症例5例の組入が行われた。同年2月22日、プロトコール作成の補助を行った研究・開発計画支援担当者から、組入終了にあたりjRCT上の手続きの確認依頼を受けた研究分担医師は、jRCT上に進捗状況等の情報を更新したが、この際に初めて jRCT で実施計画の提出を行った。実施計画を受領した関東信越厚生局から事務局宛に当該研究の状況について確認依頼があり、研究責任医師及び研究分担医師に状況を確認したところ、当該研究が jRCT での公開前に研究に着手していたという重大な不適合が発覚した。なお、当該研究に組み入れられた被験者5例について、いずれも有害事象は生じていない。
対応状況
【対応】
当該事案は、2023年3月13日に実施されたNCGM-CRBで審議され、臨床研究法の規定に抵触する重大な不適合であり、研究の中止が適切であるとの意見が出された。当該不適合の内容及びCRBの意見は同年3月16日に実施された臨床研究推進会議の場で、理事長及び病院長に報告された。当該対応につき、3月27日、関東信越厚生局担当者に報告し、研究の中止を行うこととした。
是正措置
【再発防止策】
特定臨床研究のモニタリングにおける研究開始前の確認事項として、CRB 承認を示す審査結果通知書及び実施医療機関の管理者の実施許可を示す通知書の確認だけでなく、jRCTでの実施計画の提出及び公開を必須項目として加えること、CRBの審査過程においてもモニタリング手順書に当該記載があることを確認する。また、NCGM-CRB審査結果通知書の備考欄に、jRCT公開の手続きを行うよう記載するとともに、当院での実施許可通知書をメールで送付する際に、同じくjRCTでの公開が必要であることを注意喚起する。また、新規申請の承認後、倫理審査申請システムへjRCT番号及び公開日の登録を行うよう1週間ごとにリマインドし、1か月以上経っても登録されない場合は、研究責任医師にjRCTへの登録状況を事務局が確認することとする。
この他、当院全体の再発防止策の一貫として、当該事例の情報共有を含めた不適合再発防止の教育研修を令和5年3月22日に臨時開催し、倫理教育の強化を図った。また、研究に必要な諸手続きが適切に実施されているかどうか、倫理審査申請システムによるアラートの強化や、定期報告時等に研究者等及び事務局の双方で定期的にチェックする体制の構築等を検討する。