不適合情報
2023年6月2日
- 検査項目・スケジュールの不遵守
- 重大
- 先進医療B
#231603 検査項目・スケジュールの不順守に関して発生した不適合事例(検査方法の不遵守、スケジュールの不遵守(アロアンス外の実施含む))
概要
腹膜偽粘液腫に対する減量切除術と周術期腹腔内化学療法に関する前向き試験(PMP試験)[jRCTs031180254]で生じた不適合事案
【経緯】
当該研究は、旧倫理指針に準拠した研究としてNCGM-倫理審査委員会で承認後、先進医療Bとして平成26年11月1日に告示され、平成29年2月14日までに75症例の組入が行われた。症例組入後の観察期間中に臨床研究法が施行されたため、同法に準拠した特定臨床研究へ載せ替えを行い、最終組入症例の観察期間終了後、令和4年6月1日に先進医療Bの告示取り下げを行った。その後実施されたモニタリングで指摘されたプロトコール逸脱のうち、以下の事案については、当該逸脱に伴う被験者への安全性に係る直接的な影響は確認されなかったものの、重大な不適合に該当する事案と判断された。
① 両側卵巣を含め原疾患に伴う臓器病変を広範に認める40代後半の女性被験者2例に対し、登録から7日以内に実施すべき妊娠検査を実施していなかった。
② 術後Day1~4に実施される術後早期腹腔内化学療法(EPIC)において、Day2の血小板数が7.0万/ulと、EPICの中止基準である血小板数<7.5万/ulに抵触していたが、EPICを継続した例が1例認められた。
③ EPICで投与される5-FUについて、体重換算で計算された量(15 mg/kg、1210 mg/body)を投与され、プロトコールで規定された上限量(1200 mg/body)を超過した例が1例認められた。
対応状況
【対応】
原疾患で死亡された1例を除き、被験者に事案の説明及び謝罪を行うとともに、令和4年11 月21日、当該研究の効果安全性評価委員会で当該事案の審議が行われた。
また、当該事案発生時期は旧倫理指針に準拠していたが、事案発覚時は特定臨床研究への載せ替え後であることから、臨床研究法の規定に沿った手続きとして、令和4年12月12日に実施されたNCGM-CRBにて、効果安全性評価委員会からの意見書を含め当該事案を報告し、当院管理者への報告もあわせて行った。
是正措置
【再発防止策】
当該事案は、いずれもプロトコールの確認不足が原因であり、被験者登録時や薬剤投与時には、適格基準や薬剤投与開始基準、検査項目や薬剤投与量等について研究組織内でダブルチェックを行うとともに、チェックリストの作成や検査セットの設定等でヒューマンエラーを防止する対策を講じる。なお、薬剤投与量については、現在はレジメ登録時に体重換算設定に加え薬剤投与量の上限設定も行うよう改修されており、上限を超過する場合にはアラートがかかる仕様となっている。
また、当該研究ではモニタリングを行うよう計画されていたが、実施時期や実施体制については課題が残る。今後、研究計画時に適切なモニタリング体制が構築されているかどうか、臨床研究支援部門等からも必要な助言が得られるよう、研究者等への支援体制の強化を行う。