不適合情報
2019年5月30日
- 同意取得
- 重大
- 医学系指針準拠の研究
#191502 同意取得に関して発生した不適合事例(オプトアウト文書未掲載)
概要
(2)研究計画書にオプトアウトすると記載し、倫理審査委員会の了承を得ていたにも関わらず、オプトアウト文書をホームページに掲載せずに観察研究が実施されていた研究課題: 156課題
① 経緯
• 平成30年11月6日、当センターに対し、研究者から自身が行っている研究のオプトアウト文書がホームページに掲載されていない旨の照会があり、当該研究者が文書をホームページに掲載する手続きを行っていなかったことが判明した。
• 平成30年12月3日から平成31年1月15日にかけて、オプトアウト等の手続きの履行状況について、当センターから、全ての研究責任者に自己点検の報告を求めたところ、上記と同様の理由で190の未掲載課題が申告された。
• これらの研究課題について、平成31年1月25日に開催された研究倫理審査委員会における審議の結果、倫理指針への不適合の程度が重大であると判断された。
※ 平成31年2月6日までにオプトアウト文書の掲載は完了している。
• これらの研究課題について、研究責任者に対するヒアリングや研究計画書の確認等を行った結果、予備調査委員会は143課題が倫理指針への不適合の程度が重大であると判断した。
(その他の47課題は、
・ 計画書どおりに、オプトアウト又はインフォームドコンセントの実施が確認できたもの(11課題)
・ 計画書どおりではないが、オプトアウト又はインフォームドコンセントの実施が確認できたもの(36課題)
• その後、平成25年度(2013年度)以降の全ての研究課題を対象に、センターにおいて調査を行ったところ、同様の事案が、上記143課題とは別に、13課題あることが確認された。
② 主な発生要因
・ オプトアウト文書のホームページ掲載手続きは、研究倫理審査委員会の承認後に研究者が広報へ依頼することが定められているが、研究者の一部には、事務職員が掲載すると誤解しているなど、 一連のプロセスを理解していない者がいたこと。
・ 当センターで研究を行う全職員が必修の研究倫理に関する研修で、文書掲載手続きに関する具体的説明が行われていないなど、周知が不十分であったこと。
・ 研究倫理審査委員会から承認を得た研究について、研究者は年1回、進捗状況を報告する義務があるが、この報告時にオプトアウト文書が掲示開始・継続されていることを確認するプロセスが存在しなかったこと。
対応状況
研究対象者(患者)への説明
・本事案は、いずれも通常診療の転帰や予後等の診療情報を収集する研究(観察研究)であるため、研究対象者(患者)への健康被害は生じていなかった。
・しかし、倫理指針が定める手続きに則らず、オプトアウト文書の掲載等を行わないこと等により、研究が実施又は継続されることについて研究対象者等が拒否できる機会を保障しなかったことは重大な問題と考えており、本事案に関係する全ての研究対象者(患者)へ、書面、電話又は対面での説明と謝罪を行うこととしている。(実施中)
・また、平成25年度(2013年度)以降の研究課題において、オプトアウト文書の掲載等について確認できなかった13課題については、当該研究課題に関係する全ての研究対象者(患者)に、上記と同様の対応を行うこととしている。
是正措置
・当センタ ー においては、本事案への再発防止を図るため、現時点までの調査で判明した事案の概要や現時点で考えられる発生の要因を踏まえ、主として以下の再発防止策を講じているところである。
・今後、外部有識者で構成される第三者委員会において、事実認定と評価、原因分析、再発防止の提言を行っていただくこととしており、その内容を踏まえて、更なる再発防止策を講じていくとともに、関係者の処分を厳正に実施する。
(1)研究実施体制の見直し、ガバナンスの強化
① 研究倫理審査委員会事務局の職員を2名増員し、体制を強化する。(本年4月から実施)
② 臨床研究監査室を設置し、毎年1回、研究倫理指針の遵守状況や研究の進捗状況等を監査する。(本年4月から実施)
③研究倫理審査委員会の外部委員を増員し、医学倫理面の判断をより重視する。
(2) オプ トアウト手続きの明確化
① オプトアウト手続きが確実に行われるように、研究倫理委員会事務局からオプトアウトが必要な研究全てについてホームページに掲載する手続きを講じることとする。また、掲載したかどうかのチェック手続きを導入する。(本年4月から実施)
② オプトアウト文書掲載の手続きについて、分かりやすいフローチャートを作成 し、研究を行う全職員に改めて周知する。また、研究を行う全職員が必修の研究倫理に関する講習における具体的説明内容に加える。(本年4月から実施)
③ 研究倫理審査委員会未実施での研究実施を防ぐため、上司による指導マニュアルの作成や、臨床研究監査室による監査を実施する。
(3) 職員の意識改革
① センタ ー が行う研修等に、倫理審査やオプ トアウトの必要性等に重点を置いた内容を追加する。(本年4月から実施)
② 新規採用職員のオリエンテー ションに倫理研修を追加する。(本年 4 月から実施)
⑧ このほか、コンプライアンス研修の強化、組織内のセクショナリズムの改善に向けた取り組みを実施する。
引用元
https://www.ncvc.go.jp/topics/190531_press/
https://www.ncvc.go.jp/wp-content/uploads/20190530_press01.pdf
https://www.ncvc.go.jp/wp-content/uploads/20190530_press02.pdf
https://www.ncvc.go.jp/wp-content/uploads/20190530_press03.pdf